住んでみてわかる本音の中国

2001年から中国で生活している駐在員です。 当時は、中国にはバラ色の未来があるように誘致が進み、日系企業が次々に進出していった時代です。役人や中国企業との接待で毎日のように白酒を飲まされました。 日本との物価差も大きく、お金持ちになったような錯覚を覚えた時代でもありました。 それから20年、中国は大きく変わりました。そのスピードは日本や欧米とは比較になりません。今もそのスピードは衰えることなく変わり続けています。 激動の時代の中国を過ごした経験を、少しでも表現出来たらと思っています。

ビッグデータとCOVID-19(新型コロナウイルス)

 

日本ではあまり報道されていませんが、今回は、新型コロナウイルス対策に、中国で「ビッグデータ」を活用している点をクローズアップして書いてみました。

 

◆COVID-19の最中、1月30日に中国に戻りました。

私は1月21日から春節休暇で日本に帰っていました。中国ではその前からCOVID-19が騒がれ始めていましたが、未だそれほど大きな問題にはなっていませんでした。

しかし、湖北省武漢市政府の隠蔽策が裏目に出て、一気に大きな問題に発展しました。
春節休暇を利用して、500万人の武漢市民が一斉に省外に散らばったのです。
中国国内には止まらず、日本を含めた全世界にばら撒かれました。

そんな中、中国に戻るのは自殺行為だと、家族や友人に言われながらも、会社からの明確な指示は無く、本来の予定を実行するしかありませんでした。

そして予定通り、1月31日に中国に戻りました。

その直後から、会社の操業再開のための準備や手続きで、忙しい日々を送りました。
普通の会社は自宅待機ですが、私は毎日会社に行きました。
役所に様々な対策・資料・データとそのエビデンスを提出しました。

そして、うちの会社は、2月10日から操業許可を得られ、操業再開できました。
提出した資料が十分で、さらに現場監査に合格した企業だけが、許されました。


しかし、実際は従業員が集まらず、稼働率は半分以下の状態がしばらく続きました。

その時、日本人駐在員は、春節休暇で帰国していた者も含めて、全員中国に戻り、あわただしく業務をこなしていました。

日本の外務省から、「在留邦人は帰国を検討するように」という告知が出ました。

しかし、曖昧な表現で強制力も無いため、結局本社は判断できず、現地任せ・本人任せとなり、日本人全員の帰国が実現できる会社はほとんどありませんでした。日本人がいないと回らない会社が多いですから・・・特に中小は。

しかし、中国は初動を誤ったため、その後も湖北省を中心にどんどん広まってしまいました。習近平は遅ればせながらそれを挽回すべく、その後極端な規制も含めて様々な政策を強力に推し進めました。

 

◆中国の「ビッグデータ」とは?

<個人情報は、そのほとんどがビッグデータとして国に掌握・管理されている>
もちろん公表はされていませんが、国民のほとんどはそれが事実だと考えています。

中国の公安(日本の公安とは違い、警察とほぼ同じ意味)は、国民の様々なデータを管理しています。
中国人が必ず持っている身分証(IDカード)はICチップが埋め込まれており、
戸籍や生年月日などの情報が、公安のビッグデータに紐づけされています。

f:id:cnas:20200320164055j:plain

中国人の身分証

それに加え、テンセントの微信(WeChat)やアリババの支付宝など、日常生活で頻繁に使うスマホのアプリにも、大量の個人情報が蓄積されています。
これらも全てIDカード番号から追いかけられます。

華為事件のときもそうでしたが、上記の巨大企業も私企業とはいえ、政府の強力なバックアップにより、成長し、市場を独占してきました。そのため、政府とのつながりは、一般の国営企業以上と言われています。

中国ではキャッシュレス化が進んでおり、ほぼ全ての消費が、この二つのアプリを通して行われると言っても過言ではありません。

買い物だけではなく、銀行で口座を作りお金を預けたり借りたりする場合も、学校に入学するにも、会社に就職する場合も、すべてIDカード番号が必要です。
個人の資産状況や、消費動向、生活レベル、思想、好みといったデータも収集可能です。
携帯電話を買って電話会社に登録するときにも、IDカードが必要です。

電話会社は、個人の登録情報以外にも、通信履歴や位置情報を持っています。
携帯電話は送受信しなくても、電源が入っていればどの基地局エリアにいたかの記録が残ります。
過去14日間と30日間、それぞれどこの基地局エリアにいたかは、自分自身でもわりと簡単に確認できます。
もちろん、Wifiにつなげれば、そのルーター情報も収集されます。

f:id:cnas:20200320170002p:plain

携帯電話の移動記録

そして、これらの情報はビッグデータに紐づけされます。

飛行機や新幹線を利用するにも、IDカードは必要です。

自動車の持ち主は、IDカードでその所有権が証明されます。
監視カメラを使った自動取り締まりも、IDカード番号から追いかけられます。

自分の交通違反記録、罰金額などの情報も、簡単に個人のPCやスマホから確認できます。

高速道路はもちろん、あらゆる場所にこのカメラは設置されており、車のナンバープレートを自動読み取りし、IDカード番号につながり、ビッグデータに組み込まれます。

高速道路や駐車場の料金所は、ほとんどがナンバーを自動読み取り出来、ETCもIDカード情報と繋がっています。

f:id:cnas:20200320160550j:plain

高速道路の検問

誰がその車に乗っているかまではわかりませんが、誰が所有している車が、いつどこを走っていたのかというデータはすぐにわかるのです。

最近は飲食店の厨房にもカメラの設置が義務付けられており、そのカメラは公安のサーバーに直結されています。

街中にたくさんある防犯カメラを使った顔認証システムまで考えると、ものすごい情報になります。

データが膨大過ぎるので、これらの情報を管理するのは容易ではありません。
データだけを収集しても、しっかり利用できなければ意味がありません。

中国には、もうひとつ重要な要素があります。
ソフトウェアエンジニアの人数が膨大だということです。
IT化が進んできた時代、中国政府は大学でのソフト教育を急激に増強して、ソフトウェア大国を目指した結果、実際に実現できています。
もともと人口が多い国ですから、大量のソフトウェアエンジニアを生み出すことは容易でした。

大量のビッグデータと、それをコントロール出来るシステム。
これこそが、中国の凄いところです。


◆ビッグデータをCOVID-19対策に利用しようとすれば・・・。

COVID-19は、人間の移動をいかに制限するかが重要です。
武漢市を含む湖北省は完全に封鎖されました。

次は、自分の地域を守らなければなりません。
そのために、外(特に危険地域)から入ってくる人間を排除しなければなりません。。
※危険地域は、あらかじめ政府が基準を出しています。

物理的に排除するには限界があります。
人の移動を合理的にリーズナブルに行うにはどうしたらいいのか?

まず、制限をかけたのは、戸籍です。IDカードには戸籍情報があります。
当初は、安全な地域にずっと居住していたとしても、戸籍が湖北省だったら、会社への出勤リストに登録できないことがありました。
さすがにこれではあまり意味がありません。

政府側も、安全性の高い従業員は、できるだけ移動を許可して出勤させたいと考えていました。安全を確保しつつ、経済にできるだけ打撃を与えない方法が必要です。

政府は企業に、2月10日からの出勤可能者リストを提出させました。
そのリストには、個人名や電話番号はもちろん、戸籍・現住所の他、過去どこにいたのか、どういう交通機関で移動したのかも記載されています。もちろんIDカード番号もです。各企業・各社員の、かなり細かい情報が政府のデータベースに登録されました。

このリストと、実際の携帯電話会社の位置履歴データ等で、個人をふるいにかけ、その結果出勤OKかNGか、簡単にスマホで確認することができるようになりました。
そして、個人は、高速道路や駅などの検問で、この情報を提示することにより、自分の働く会社のある地域に移動できるようになるのです。


中国人のほとんどは、マンション群をひとくくりにした「村」とか「街道」呼ばれる範囲で管理できます。

マンション群は塀で囲まれており、出入りする門を限定することで、わりと簡単にそこの出入りを管理できます。この単位で封鎖することもできます。
街道はそれをもう少し拡大したイメージです。

f:id:cnas:20200320171449j:plain

道路封鎖

 

各門で検問時、ビッグデータからの情報をうまく利用していました。

マンションごとにバリケードを作り、出入りする住人を厳しく管理します。

f:id:cnas:20200320172150j:plain

団地の検問


各個人の携帯電話に、あらかじめ住所や会社名、健康状態や移動履歴等の情報を登録(公安のビッグデータと連携)すると、QRコードが発行されます。
そのQRコードの色が、安全な人はグリーン、危険な場合はレッドで表示されます。個人の顔写真などの情報も同時に表示されます。

f:id:cnas:20200320223941p:plain

QRコード【グリーン】

 

f:id:cnas:20200320224202j:plain

QRコード【レッド】


検問の係員は、自分のスマホアプリで相手のQRコードを読み込み、公安情報と照合し、間違いないことを確認し、入門を許可します。

おもしろいのは、百度地図というアプリがあるのですが、この地図には、どこのマンション・アパートに感染者がいるかという表示まで出てくるのです。

いわゆるウイルスマップです。これがあると、そのアパート周辺には近づきたくないです。自然に、感染を防ぐ効果があります。

f:id:cnas:20200320164350p:plain

ウイルスマップ


企業の操業再開の次は、商業施設の番です。
ここでもQRコードが活躍します。

f:id:cnas:20200320165308j:plain

デパートのQRコード確認の案内

デパートやショッピングモール、スーパーなどは、入り口で係員が体温測定と同時に、QRコードの確認をします。マンション群の入り口と同様です。
グリーン表示が照合できれば、店の中に入れます。

f:id:cnas:20200320165059j:plain

デパートでのQRコード確認

f:id:cnas:20200320165205p:plain

照合によりグリーン確認

公共交通機関です。
地下鉄やバスなども、体温測定と共に、QRコードの確認があります。

バス等は、バス側に備わっているQRコードを客のスマホで読み取ることにより、そのバス自体が安全かどうかと、客が安全かどうかを同時に確認することもできます。

f:id:cnas:20200320165441p:plain

バスでのQRコード確認結果


このように、ビッグデータを利用して、個人の安全性を特定し、安全な人だけをいち早く社会に復帰させ、効率的に通常状態に戻すことに、中国は見事に成功したと言えます。

個人情報を政府に握られているという代償に、情報社会の利便性を享受できた形です。

2020年3月19日時点、世界中にCOVID-19(新型コロナウイルス)が蔓延する中、この日の中国では輸入症例を除いた新規感染者数が初めてゼロになりました。

いまや中国は、最も安全な国の一つに数えられるようになりました。
ビッグデータの利用が、多少なりとも貢献したと言えます。

※あくまでも個人情報を政府に握られているという条件がつきますが・・・

 

掃黒除悪とは?

【掃黒除悪】

直訳すると、「黒を掃除して、悪を除く」となります。

黒は暴力団などを指します。悪は社会の中に存在する悪い行為や人物という意味でしょうか。

「暴力団を一掃して、悪事をつまみ出せ」と訳せるかもしれません。

 

これは、もともと習近平指導部が始めた黒社会(暴力団など犯罪集団)の取り締まり作戦『掃黒除悪(悪を取り除く)』から始まっています。

この号令下、各地方政府は一斉に摘発に乗り出しています。
「闘争」と言う言葉を使っていることからも、今までの馴れ合いではなく、今回は結構本気だというのがわかります。

2018年1月に中国共産党中央委員会と中国政府国務院から、<『掃黒』『除悪』特別闘争の展開に関する通知>が出されました。

f:id:cnas:20190604181846j:plain

人民代表大会

『掃黒』とは『黒社会(暴力団)』を一掃することを意味し、『除悪』は悪人を除去することを意味することから、一般的には「暴力団一掃と悪人除去」運動と理解できます。

しかし中国の法令等によくありがちな曖昧さもあり、その肝心な『掃黒』『除悪』の対象が何かは具体的には示されていませんでした。このため、一般庶民は掃除通知の対象がどこに向けられているのか、その範囲はどこくらいまで及ぶのかよくわかっていませんでした。

その後、中国のネット上に(公文書)の形で「“掃黒除悪十二類重点打撃対象(“掃黒”・“除悪”12種類の主要な打撃対象)」と題するビラが掲載され、主要な打撃対象となる12種類の「黒悪勢力(暴力団・悪人勢力)」の詳細が箇条書きで示されました。
ビラに記載された12種類の黒悪勢力は以下のような内容です。

f:id:cnas:20190606101157j:plain

12悪+1

【12種類の黒悪勢力】

①政治の安全、特に政権の安全と制度の安全を脅かす、政治領域に浸透する黒悪勢力

②“基層政権(区・郷・鎮・村の人民代表大会と人民政府)”の権力を握る、“基層換届選挙(区・郷・鎮・村の人民代表の改選選挙)”を操作して破壊する、農村資源を独占する、“集体資産(農村の共同資産)”を横領するなどする黒悪勢力

③家族や“宗族(一族)”の勢力を利用して農村でのさばって地方の覇を唱え、庶民を抑圧し痛めつける“村覇(村の顔役)”などの黒悪勢力

④土地収用、借地、立ち退き、事業案件の建設などの過程で、扇動や騒動を引き起こす黒悪勢力

⑤建築工事、交通運輸、鉱物資源、漁業などの業界や領域で、工事の独占、悪意の競争入札、不法占拠、乱開発・乱採掘を行う黒悪勢力

⑥市場、卸売り市場、駅や埠頭、観光地などの場所で、不正手段や暴力により商売を独占したり、強引に売り買いさせたり、みかじめ料を徴収したりする“市覇(市場の顔役)”や“業覇(業界の顔役)”などの黒悪勢力

⑦“黄色・賭博・薬物(ポルノ・ギャンブル・薬物)”などの違法犯罪活動を行う黒悪勢力

⑧違法な高利貸付や暴力的取立を行う黒悪勢力

⑨民間の揉め事に介入し、闇の法執行を行う黒悪勢力

⑩中国国内へ入境して発展・浸透した「境外黒社会(国外・境界外の暴力団)」

⑪乱脈なワクチン市場や砂利採取などの業界で活動し、合法的な生産経営を妨害し、正常な市場秩序を破壊する黒悪勢力

⑫「信訪条例(陳情条例)」に違反して、陳情者が違法に上級機関へ直訴する、無理筋の陳情を行う、長期にわたり繰り返し陳情を行う、脅して財物をゆすり取るなどにより組織秩序や社会秩序を著しくかく乱するのを組織・画策・扇動する陰の組織者や指示者

 

最後の項目⑫は、人権弁護士などと言われている人たちが対象で、どちらかと言うと弱者救済を勇気をもって実行している人なので、我々日本人から見たらえ~っ!と思える部分もありますが、中国政府にとっては、彼らも「悪」なのです。


上記の特に⑦に関わる運動が、最近急激に活発になってきています。

今までは、暴力団対象だったからか、ニュース等を見ない限り、あまり表面に出ることはありませんでした。

しかし、最近は一般市民生活の中ですぐに気づくことが増えたのです。

まずは町中に「掃黒除悪」のポスターや横断幕が現れました。
えらいたくさんです。

f:id:cnas:20190604182629j:plain

掃黒除悪ポスター


私の住んでいるところには、各廊下にポスターが貼られています。
中には、金属フレームで作った大掛かりな看板もあります。
相当お金がかかっています。

f:id:cnas:20190606101404j:plain

f:id:cnas:20190604182658j:plain

掃黒除悪ポスター

女性服務員がお酒のサービスをするKTV(日本のクラブやキャバクラに相当)は完全クローズです。
バーはかろうじて大丈夫ですが、従業員が客の隣に座るのは禁止です。必ず対面からお酒を出さなければなりません。
カラオケ設備があるバーは、カラオケを使用してはいけません。

町の雀荘は全てクローズです。雀荘は普通の一般市民が使っていたと思うのですが・・・
これは賭博に当てはまるからです。

家庭でも、200元以上の掛け金があると麻雀・トランプ類は禁止です。
おっちゃん、おばちゃんたちの楽しみがひとつ無くなりました。

 

露天商まで取り締まっています。

f:id:cnas:20190604182757j:plain

露天商の取締

 

ホテルに宿泊する場合は、必ず身分証明書かパスポートを見せて登録しなければなりません。ここまでは今までと同じですが、厳しくなったのは、家族や友達が訪ねてくる場合も、必ず同様の登録が必要なのです。

f:id:cnas:20190604182833j:plain

ホテルの登録

さらに、公安はこのチェックを行うために、勝手に各部屋の中に踏み込んできて確認できるのです。日本だと捜査令状が無いとだめですが、中国はOKです。
そこに未登録の人間がいたら、公安に連行されます。外国人の場合は国外退去を含む厳罰が課されることもあります。

 

町のマッサージ屋さんが次々に閉店に追い込まれています。
風俗系のお店はもちろんNGですが、普通のマッサージ屋さんまで店を閉めるところが出てきました。
例えば、足マッサージは、男性客には男性マッサージ師、女性客には女性マッサージ師。もしも人数が足りなかったら、同性のマッサージ師が空くまで、客を待たさなければならないのです。

どちらかというとマッサージ師は女性の方が多く、客は男性の方が多いと思います。そうなるとバランス崩れます。

それになんか面倒だし、もめ事に巻き込まれたくないので、客足はどんどん遠のいてしまいます。

f:id:cnas:20190604182914j:plain

マッサージ店の取締

ここまでやるのかと、あきれるようなところまで徹底的にやります。

国家主席になった習近平は、深刻化する幹部の腐敗に触れて「物が腐れば、後に虫が湧く」と述べて、腐敗問題に本気で取り組みました。
それから始まったのが「トラ退治とハエ駆除」を同時に行うと形容した腐敗幹部を取り締まる「反腐敗運動」であり、この反腐敗運動は過去5年間で一定の成果を収め、多くの高級幹部が失脚しました。
一般庶民からは、この成果を高く評価する声が多いのも事実です。

f:id:cnas:20190606102759j:plain

習近平の反腐敗運動

習近平が最も恐れているのは、中国の歴代王朝のほとんどが民衆の蜂起によって滅亡しているという事実です。


中国の国防費と“公共安全費(治安維持費)”の金額を比べてみると、治安維持費が国防費をはるかに上回っているそうです。(ともに20兆円規模)

中国の国防費はアメリカに次いで世界第2位。

それでも、治安維持費が国防費を上回るのはなぜか?
おそらくそれは、中国社会が不安定であり、治安維持を強化しないと、14億人の人間をコントロールして国家を維持できないのでしょう。
多大な治安維持費を投入しないで済むようにするには、中国国民が中国共産党の統治に不満をいだくことがないように社会を安定させることであり、そのためには中国社会に根付く病根を取り除くことが必要なのです。

 この理由で「トラ退治とハエ駆除」運動に続いて打ち出されたのが、国務院から出された<『掃黒』『除悪』特別闘争の展開に関する通知>だったのです。

f:id:cnas:20190606104352j:plain

掃黒除悪通知

このようなことから、今回の運動は、何かの会議があるからとか、外国の要人が来るからとかと言った通り一遍の対策ではなく、習近平の強い意思に基づく国策であることがうかがい知れます。

だとすると、これはいったいいつまで続き、どこに行きつくのでしょうか?
一部には6月いっぱいと言われてもいますが、「トラ退治とハエ駆除」のように一定の成果が出るまで、しばらくは続くと考えられます。

閉店に追い込まれて職を失った方々は気の毒ですが、中国政府としては、この巨大な国を統治するためには多少の犠牲は仕方ない考えているのでしょう。

中国人はたくましいので、おそらくこのくらいのことは簡単に乗り切ってしまうと思います。

果たして、その先には、巨大でクリーンな国家が現れるのでしょうか?
それが問題です。

 

 

中国でiPhone壊れた!

 ◆iPhoneXのディスプレイが割れた!

3月某日、日本で買ったiPhoneXの表面ディスプレイが割れてしまいました。
日本で買って、中国で1年半くらい使ったiPhoneです。

最初は、表面に貼った3D保護ガラスが割れたのだと思っていました。
保護ガラスを剥がしてみたら、なんと本体の方が壊れていたのです。

f:id:cnas:20190530181238j:plain

ディスプレイが割れたiPhoneX


逆に保護ガラスの方は、全く壊れていませんでした。
何のための保護ガラスなんだか・・・

一応動くのですが、顔認識するとき、時々ミスします。じれったいです。
これでは不便なので、修理することにしました。

 

仕事が終わった後、馴染みの修理屋に行きました。
電池交換も安く(50~100元くらい)でやってくれ、何年か前は、アップルストアでは修理不可能と言われた、水没したiPhoneを見事に修理してくれました。
信頼のできる修理屋さんです。

しかし、その場所に以前の店は無くなっていました。
残念です。
南側に少し行ったところに、似たような店がありました。

f:id:cnas:20190530172510j:plain

町の修理屋さん

中にいたのは当然以前の修理屋さんではありません。
取り敢えず、iPhoneXを見せて直せるか聞いたら、大丈夫だそうです。
お~、いいねいいね、期待できそう!

 

パーツは、アップル純正と、サードパーティ製があって、それぞれ800元と280元だそうです。
お金が無い時期だったので、280元にしました。もちろん修理代込みの値段です。

ネットでiPhone Xの日本での画面修理費用を調べたら、アップルストアだと31,800円に消費税をかけた34,344円だそうです。
中国のアップルストアだともっと高いはずです。

日本の一般修理専門店に持ち込むと、最安値の店で、19,480円〜と出てきました。

iPhone8までは、1万円前後で修理できていたのですが、iPhoneXから急に2倍に跳ね上がりました。理由は有機EL(OLED)です。

液晶から有機ELに変更されたことで、より高画質になりました。
確かにiPhoneXを初めて手に取ったとき、「キレイだ」とは感じました。
しかし、大きなデメリットである「高い!」という部分は、あまり気にしていませんでした。
壊れて修理して、はじめて後悔です・・・トホホ

 

日本の修理代に比べて、やっぱり中国の修理代は安いです。
工数込みで280元なら年に何回か壊れても大丈夫~なんて感じで、おっちゃんの修理の様子を見ていました。

非常に慎重に作業していました。

途中あまりにバラバラになるので、果たして元通りに戻るのか、不安になりました。
それでも30分足らずで修理終了しました。見事です!

f:id:cnas:20190530172923j:plain

果たして元通りに戻るのか?

 

ついでに3Dシートを貼ってもらいましたが、修理が上手い割には、こちらは下手でした。3回失敗して、ついにシートが無くなり、他の店から取り寄せていました。

ディスプレイの修理よりも保護シートの貼り付けの方が時間がかかるのって、なんだかなぁ~
失敗分は請求されなかったので、40元でした。

 

しばらく使ってみたら、違和感あります。なんか使い勝手が変わりました。
ディスプレイを指で操作しても、上手く反応してくれません。

時々固まったり、思うように動かないのです。
顔をうまく認識してくれないこともたまにありました。
それでも、まあ何とか使えるので我慢して使うことにしました。


◆落としたら、また壊れた!

修理してから半月ほどたった朝、洗面所でiPhoneXを落としてしまいました。
カバーも付いていたし、以前はこのくらいの高さから落としても、壊れることなんてなかったのですが、また壊れてしまったのです。
やはり280元の安物ディスプレイにしたのが悪かったのでしょうか?

今度はディスプレイが割れたわけでは無く、画面が真っ暗で何も見えなくなったのです。
配線が切れたか接触が悪くなったのかな? だったらすぐ直るなあとか、わりあい楽観的に考えていました。

 

やっぱり画面が真っ暗だと何にも使えません。とにかく困ります。

急遽、古いiPhone5をとりだして、SIMを入れ替え、中国生活で必須の微信(WeChat)や支付宝、淘宝等のアプリが使えるようにID・パスワード等を設定しました。

 

iPhone5は4Gに対応していないので、Wifiが無いところでは、死ぬほど遅いです。
それでも無いよりは遥かにいいです。
取りあえずこれで応急処置、後で先日修理してもらった店に持って行くことにしました。


昼間は用事があったので、iPhone5で耐え忍び、夕方、例の修理屋さんに持ち込みました。

壊れたiPhoneXを見て、修理屋のおじさんが困っていました。
今日は部品(パネル)の在庫が無いそうです。
市内から取り寄せるので2時間ほどかかると言われました。

f:id:cnas:20190530172645j:plain

町の修理屋さん

スマホを預けて近くの日本料理屋で軽く食事することにしました。
そこで2時間ほど時間をつぶして、もう一度修理屋に向かいました。
しかし、まだ部品が届いていませんでした。

待つこと10分ほどしてようやく届きました。

 

ディスプレイは2種類ありました。800元と1200元です。
あれれ?、前回は純正が800元だと言っていたのに、さらにその上があるの?

 

どちらも実際のiPhoneXに使われている部品と同じだそうです。
違いはメーカーだそうです。
先日は、サードパーティの280元にしたら、感覚が変で、ちょっと使いづらく、挙句の果てにちょっと落としただけで壊れてしまいました。

今回は、奮発して一番高い1200元にしました。


修理は20分ほどで完了。
今回は操作性もよく、顔認識もスイスイです。
ホントに使いやすくなりました。

しかし、大きな散財しました。1200元あったら、アンドロイドのスマホが買えます。

 

今の世の中、スマホが壊れるとたいへん困ります。一大事です。

サブのiPhone5では4Gが無いので、使い物になりません。
中国ではスマホが無いと、人とのコミュニケーションはもちろん、食事も移動も買い物もできません。

 

いざと言う時の保険のために、会社にオキッパになっていたiPhone7のセッティングをしました。
32Gしかない非力なiPhoneですが、支付宝や微信(WeChat)、淘宝など、基本的なアプリが入っていれば急場はしのげます。
iPhone5よりは、遥かにいいです。


◆今度は水没させてしまった!

前回の修理から2ヶ月余りたった夜、ちょっと慌てて、iPhoneXを水没させてしまいました。
しかし、最近のiPhoneは防水なので、水没くらい平気だい。

・・・と、思っていました。

 

あれれ?なんかカメラがボケてきて、次第に画面の操作感も悪くなってきました。
思うように動かなくなってきたのです。

1時間ほどしてリンゴマークだけが表示されるようになり、その後ついに電源が入らなくなってしまいました。
え~、なんで、なんで? 防水なのに・・・

 

以前、ディスプレイの修理を、町の修理屋にさせたことを思い出しました。
当時の修理の様子を思いだしたら、パカンと開けてパネルを交換、またパカンとはめ込んではい終わり、という感じでした。

通常の防水は、そのパカンと開け閉めしたケースとディスプレイパネルの間を、しっかり防水処理しなければならないのですが、町の修理屋さんはそんなことはしていませんでした。

そのため、おそらく防水機能が失われてしまったのでしょう。
私のiPhoneXは防水仕様でありながら、防水ではなくなっていたのです。
かなりショックでした。

やっぱり安いとはいえ、町の修理屋に出すのはもうやめようと、強く強く固く固く決心しました。

 

取り敢えず応急措置として、準備していたiPhone7をメインにすべく、支付宝、微信(WeChat)、淘宝などのアプリを、メインIDに切り替えました。
サブIDは、iPadに移動しました。

以前はiPhone7が無かったため、不便しましたが、今回はこれで当面しのげそうです。
一つ面倒なのは、各銀行のアプリが、ケイタイ依存(顔認証など)しているため、すぐには開通できない点です。

 

翌日、午前中に近所のアップルストアに行って、修理or新規購入することにしました。自宅から歩けるところに、アップル正規ストアがあるというのは便利です。
日本だと大都市でしかも中心街と、限られてますからね・・・

アップルストアは午前10時開店です。私の家から徒歩10分なので、ゆっくり出発して良いのです。

開店と同時に着いたのに、すでにお客さんがたくさん入っていました。
どっから入ってきたの?って感じです。

 

最初に声をかけた店員は、たまたま日本語が喋れる男性でした。
日系企業の営業経験と、日本での研修経験があるそうです。

いろいろ調べてもらいましたが、結局、日本で買ったiPhoneなので、中国では修理できないそうです。使われているパーツと細かい仕様が違うからだという説明でした。

 

仕方ありません。新しく買うことにしました。

使い慣れたiPhoneXと、大きさもメモリ(256G)も全く同じの、iPhoneXSにしました。

9千5百元もしました。(×_×;)

f:id:cnas:20190530182316j:plain

iPhoneXSとiPhoneX


今秋に発売予定の、次のiPhoneを買うつもりだったのですが、しばらくお預けになりました。

f:id:cnas:20190530172358j:plain

2019年9月発売予定の次期iPhone

 

安い修理代に目がくらみ、結局高いものについてしまいました。
\(__ ) ハンセィ

 

 

 

最近の中国のPM2.5事情

私が住んでいる華東地域は、昔から霧が多いことで有名でした。
冬の朝、日が昇るころに起きると、景色が真っ白になっており、数百メートル先の建物は全く見えません。普段見慣れた風景から一変した様子が、情緒があるなぁと感じていたのは10年ほど前までした。

今日の天気予報は「晴れ」

f:id:cnas:20190306183222j:plain

これでも、快晴なんです・・・

しかし、外の景色は快晴から程遠いものでした。昼になって多少霧が晴れてきても、相変わらず空はどんよりとくすんでいます。
この季節、青い空はほとんど見られません。


情緒を楽しむどころではありません。大勢が巨大な収容所の中に閉じ込められ、どこにも逃げ場の無い状態で、PM2.5という毒ガスが放たれたようなものなのです。

 

それでも最近、夏は青空を見ることができる日が増えました。
しかし冬が近づくにつれ、どんどん空気が悪くなっていくのが、写真を見てもわかります。

f:id:cnas:20190306183351j:plain

夏のころの綺麗な空

 

f:id:cnas:20190306183421j:plain

なんかちょっと霞んできました

 

f:id:cnas:20190306183502j:plain

ほとんど見えない!


2~3年前、声が出なくなったことがありました。自分では大気汚染のせいだと確信しているのですが、病院に行っても、PM2.5との因果関係はなかなか実証できません。

 

以前は、PM2.5だけの数字をとやかく言うことが多かったのですが、このごろはAQIで表現するようになりました。
天気予報でもメインはAQIの数字を使って、PM2.5等の詳細数字は、別途付随情報として見ることができます。


AQIというのは、空気質指数または大気質指数(Air Quality Index)という意味で、いくつかの国や地域で採用されている大気汚染の程度を示す指標だそうです。計算方法は複雑なので、ここでは紹介しません。

 

ちなみに、アメリカでは、アメリカ合衆国環境保護庁というところがAQIを定め、大気汚染物質濃度の観測を行いながら、指数を発表しているそうです。

アメリカのAQIは6段階で、指数が100を超過すると敏感な人に影響が生じるとされています。

 

これに対し中国では、2012年から空气质量指数AQIを発表しています。
中国も6段階となっていて、対象物質はPM10、PM2.5、一酸化炭素、二酸化硫黄、オゾン、二酸化窒素の6種類です。

f:id:cnas:20190306183807j:plain

中国のAQI基準

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 

 

スマホアプリの天気予報では、各都市のAQI値をほぼほぼリアルタイムに見ることが出来、さらに順位付けまでしてくれます。

f:id:cnas:20190306184651j:plain

上海のAQI

f:id:cnas:20190306184748j:plain

上海の各スポットのAQI

f:id:cnas:20190306185537j:plain

ランキング上位

f:id:cnas:20190306185622j:plain

ランキング下位

f:id:cnas:20190306185647j:plain

ランキング最下位

 

現在、北京では全人代が開かれています。
期間は3月5日から15日までです。
その影響か、いつもは数字がわるい北京が、今はかなりいい数字をたたき出しています。

f:id:cnas:20190306184846j:plain

北京のAQI

f:id:cnas:20190306184912j:plain

北京の各スポットのAQI


強制的に工場の操業を停止したり、車の規制を行ったりするそうです。


私の住んでいるあたりは、どちらかというと、悪い方でしょうか。
その割には、マスクをして歩いている人は、あまり見かけません。
さらに、昔ながらの習慣なのか、窓を開けたがる人が多くて困ります。
新鮮な空気を入れ替えたいのはわかるのですが、外の空気は部屋の中より遥かに数字が悪いというのを理解していないのでしょうか?・・・やっぱり習慣なんでしょうね。

 

世界中のAQI値を地図上でリアルタイムに表示するサイトがあります。

リアルタイム気質指数ビジュアルマップ

f:id:cnas:20190307154708j:plain

リアルタイムAQIマップ(世界全体)

これを見ると、やっぱりアジア、特に中国・インドあたりが悪い傾向があります。

東アジア部分を拡大すると、

f:id:cnas:20190307154950j:plain

今は中国華東地区、悪いですね。

韓国も騒いでいるだけあって、あまりよくありません。

日本では、偏西風で中国・韓国からの影響を受けやすいのか、九州があまりよくありません。さらに西日本、東日本、東北となるにつれて、空気が綺麗になっているのが一目瞭然です。

 

中国からの影響を問題視している韓国に対し、中国側では、「北京が良い数字なのに、韓国はそれより悪いのだから、関連性は無い」という意見もあるそうです。

いやいや、北京は全人代により、ピンポイントで特別対策してるからですよ。

全人代終わると、おそらく北京も真っ赤になると思います。

 

しかし、さすがにおおらかな中国人たちも、気にする人がどんどん多くなってきています。特に子供を持つ家庭が気にします。そのため、空気清浄機がよく売れています。数少ない自己防衛策の一つです。

家庭用空気清浄機 販売規模推移(2016年実績~2022年予測)を見ると、世界市場の20~30%は中国で売られていることになります。

以前はシャープやパナソニック等の日本のメーカー製がもてはやされて売れていたのですが、最近は、圧倒的に中国メーカー製が増えています。(単位:千台)

f:id:cnas:20190306185755j:plain

【出典】「グローバル家電市場総調査 2018」富士経済, 2018/02/05


この状況、さすがに中国政府もそこそこ真剣に対策に取り組んではいます。

大気汚染の元凶の一つ、自動車ですが、政府はEV(電気自動車)化するのに積極的です。補助金を出したり、ナンバープレートを取得しやすくしたり(上海などは、一般の自動車のナンバープレートは入札制で、日本円で百万円以上かかりますが、EVでは無料化)、自動車メーカーにもさまざまな補助を行って来ました。

しかし、リチウム電池の価格がなかなか下がらず、未だに同クラスのガソリン車の車体価格をはるかに上回る状態です。これだとなかなか消費者はEV(電気自動車)に手を出しません。

そのため、このところ補助の勢いも無くなりつつあります、流石の中国政府も息切れ気味なのでしょうか。


一方、汚染物質を大気中に排出している工場に対しては、中央政府からの指示で、各地方政府が対策しています。

私の住んでいる周辺では、AQIの数字が悪くなると、黄色警報⇒30%減産、オレンジ色警報⇒40%減産、赤色警報⇒50%減産、なんて指示が飛んできます。
ちゃんと守ってないと、抜き取りで立ち入り検査をされることもあるようです。

 

こんな中で、中国に住んでいる我々は、少しづつは良くなっているんじゃないかと言うかすかな希望のもと、なんとか生活はしています。

でも明らかに寿命は縮めているでしょうね・・・

 

こういう状況下にあるからこそ、「日本に住む幸せ」を実感します。

 

中国の銀行で納税者番号の登録義務化(外国人)

午前中、銀行に行きました。
納税者番号を登録するのが目的です。

外国人に対する、新しいルールです。
2018年8月1日より、中国での個人所得税申告システムがアップデートされています。
税率が変わったり、確定申告的なものが導入されたりと、いろいろ変わります。
その中で、我々外国人に対しても、確実に課税するためいろいろな要求があります。
納税者番号登録は、租税条約に基づく国家間での情報交換において利用されるものと思われます。
(租税条約は、各国で異なるローカル法である税制の差異を特別に条約で調整することで、それによって生じる二重課税や租税回避、脱税を防止することにあります。)

今後中国で銀行口座を作る場合は、必ず納税者番号を登録する必要があります。
日本で納税している人は、日本のマイナンバーを申告すれば大丈夫です。今のところ口頭で番号を言うだけでOKです。原本やコピーは要求されません。
中国で納税している人は、中国での納税者番号が必要です。

ところが、これが意外にやっかいで、納税者番号は、会社の誰も知らなかったので、税務局に行って調べました。(ひどい会社ですね)
納税者番号は、Wの後に数字がたくさん並んでいました。

f:id:cnas:20190301124840j:plain

 

あらかじめ、口座のある3つの銀行に、登録が必要かどうかの確認をしたら、温度差はあるものの必要だという結論になり、一気に3つの銀行を回りました。

◆工商銀行
電話では、一番まともな回答した銀行です。
その内容は、外国人は納税者番号がこれから必要だという上からの指示が出ているので、できるだけ早く登録に来てください・・・というものでした。

窓口の女性はショートカットの明るい感じです。

f:id:cnas:20190301172013j:plain


しかし、この件は、よく知らないようでした。少なくとも彼女がこの処理をした経験はない模様。他の担当に聞いたりして、処理をしていました。
納税者番号の頭にWの文字があり、残りは全て数字ですが、彼女はPCの画面で数字しか入力できないため、困っていました。(おそらく中国人の納税者番号は、数字だけで構成されているものだと思います)
他の同僚に聞いていましたが、その同僚もよくわかりません。
結局彼女らの出した答えは、「Wは外国人についている記号なので、そもそも外国人しか登録する必要がないこの制度では、Wの入力は必要なく、その後に続く数字だけ入力すればいいはずだ」でした。
おいおい・・・! 大丈夫かよ?

三択です。行員が勝手に選んでくれました。
①中国に居住して中国でのみ納税している
②中国に住んでいない
③中国に或いはその他地域で納税している

f:id:cnas:20190301140345j:plain


②にチェックを入れました。あれ~、それだとおかしいんじゃないかな?
中国に住んでるし、中国で納税してるんだけど・・・
まっ、いいか~

住所は住んでいるアパートがちょくちょく変わるので、会社の住所に変更してもらいました。

最後にその行員は、日本人は真面目だね、この辺は韓国人が多いけど、誰もこんな指示は守らないよ~(^0_0^)
だそうです。

◆中国銀行
電話では最もこの制度を理解していない銀行でした。
私の担当マネージャに聞いたら、納税者番号の登録の必要性自体を知りませんでした。周りの同僚に聞いても、知りませんでした。ちなみにここは私のメインバンクで、給与はここに振り込まれますので、納税者番号は登録済みだと言われました。。
それが、後の情報では、まだ登録していないので、別途登録に行った方がいいということになりました。

順番待ちカード発行機に銀行ガードをかざすと、「V〇〇〇」という用紙が出てきました。これはVIPの意味です。
ここでは私はVIP待遇なので、ディズニーランドのファストパス状態です。
列をすっ飛ばして、すぐに受付してもらいました。
窓口は男性でした。中堅クラスのしっかりした感じです。

f:id:cnas:20190301172017j:plain


以前の電話口の内容とは異なり、この件は熟知している気がしました。
すいすいと手続きが進みました。

三択です。ここでも行員が勝手に選んでくれました。
①中国に居住して中国でのみ納税している
②中国に住んでいない
③中国に或いはその他地域で納税している
彼は③にチェックを入れました。

ケイタイのアプリの中で、「我的個人信息」の中の「個人税収居民身分声明」というところから入って、個人でも登録したり、修正したりできるそうです。
あとで確認して、出生地の住所のスペルが間違っていたので、自分で修正しました。

f:id:cnas:20190301172002j:plain

この画面から入ります。

f:id:cnas:20190301171956j:plain

ここの内容は自分で書き換えられます。

f:id:cnas:20190301171950j:plain

納税者番号もここで記入。最後に下の青い部分をクリックすると更新終了!

な~んだ、わざわざ銀行に行かなくても、スマホのアプリで、いつでもどこでも自分で登録したり更新したりできるのです。最初に知ってたら銀行に来なかったのに・・・

 

せっかくここまで来たので、ついでに建設銀行にも行ってみました。

◆建設銀行
ここは電話口で担当者に聞いたら知りませんでした。しかし別支店にいる専門の担当者に聞いたら、納税者番号の登録が最近必要になったことを知っていました。ただし彼らは実際に運用はされていないという認識です。私は、口座開設時にすでに納税者番号の登録を済ませているということでした。
そんなことした記憶はないのですが・・・そもそも、納税者番号が何番なのか知りませんでした。あとで調べたら、知らない中国人の納税者番号が記載されていました。う~ん、なんかわけわからない・・・

ここもなぜか順番待ちはVIP待遇でした。
給与振込してないし、最近口座を開いたばかりなのに???
よく考えたら、理財をたくさんしているので、自動的にそういう待遇になったのかもしれません。

受付は、大坂なおみに眼鏡をかけさせたような、ちょっと太目の実習中の行員でした。

f:id:cnas:20190301172008j:plain


実習中なので、必死に実直にマニュアル通りにこなしている感じでした。
①中国に居住して中国でのみ納税している
②中国に住んでいない
③中国に或いはその他地域で納税している
ここでは①にチェックが入りました。
これにより、3つの銀行全てが、違う選択をしたことになります。
おお~大丈夫かよ!

まあまあいい加減です・・・
こんなもんです。

これをしないとどうなるか?

可能性として考えられるのは、口座を凍結されるかもしれないということですが、あまり心配いりません。
実はまだ登録しなくても大丈夫なようです。
登録率は極めて低いという話です。

そもそも、中国の4大バンクの3つを回って、こんな有様なので、まだまだ上の指示は下まで浸透していません。

ただし、これから急に変わるかもしれない・・・それが中国です。
アンテナは高めに!
また何か変わった動きがあったら、お知らせします。

 

◆◇◆◇◆◇ 追加情報 ◆◇◆◇◆◇

 2019年1月1日の個人所得税法改定に伴い、3月14日に、「中国に住所がない個人の居住時間判定基準の公告(財政部・税務総局公告2019年第34号)」と、「非居住者個人と住所のない居住者個人に関する所得税政策の公告(財政部・税務総局公告2019年第35号)」が公布されました。これは、2019 年1月1日にさかのぼって、施行されています。

この中で6年ルールの解釈を見てみます。

◆そもそも6年ルールとは?
 個人所得税法実施条例第4条には、「中国国内に住所を有せず(外国人の事)、中国内の居住が、累計満183日の年度が連続して6年未満の場合、主管税務機関の届出により、その中国外を源泉とし、かつ国外の組織または個人が支払う所得について、個人所得税の納付を免除する。中国国内において居住して累計満183日のいずれかの年度に中国を離れて30日を越えた場合、その中国国内において居住して累計満183日の年度の連続年数は改めて計算する」と規定されています。
 つまり、課税年度期間(暦年)に、183日以上中国に居住した年度が、6年未満であれば、所定の手続をする事で、国外源泉所得に対する課税は免除され、中国源泉所得に対してのみ個人所得税を納税すればよいことになります。
 旧税法(実施条例)には、5年以内の場合は、税務機関の許可に基づき国外源泉所得を免除しうることが規定されており、「5年以内から6年未満」への変更であり、基本は同じ期間と思えますが、税務総局は、記者発表で、「免税条件を、5年未満から6年未満に緩和した」と発表しています。これは、中国の法律および運用では、以下と未満の区別が不明確な場合が多く、それに起因するものと思います。
 以下の記者発表のケーススタディを参考にすると、6年以内は、国外源泉所得の課税免除ができ、7年目から全世界所得課税に切り替わる(つまり、6年未満ではなく、6年以内)というのが、税務機関の考え方の様です。

◆34号公告の内容
 34号公告では、以下の内容が規定されています。
 ① 満183日以上滞在が6年間継続するうちの、どの年度でも、連続30日超の出国があれば、期間継続はリセットされる。
 ② 連続6年のカウントは、2019年1月1日より開始され、それ以前の滞在は、全て白紙とされる。
 ③ 入出国日で、24時間に満たない日については、これを切り捨て、滞在日数にはカウントしない。

「2019年1月1日より開始」が重要で、私のように長く中国に住んでいるものでも、2018 年末までの滞在は、全てキャンセルされるので、2019年からの計算開始となります。よって、2019年から2024年の期間は、国外源泉所得に対する課税は免除されることになります。